ピッチャーと変化球
ピッチャーと変化球について解説します。
変化球といってもさまざまな特徴があり、ピッチャーの投げ方として、指のかけ具合など微妙な変化があります。
ピッチャーの変化級の例をあげると、
ム−ヴィング・ファストボール | 落ちながらスライダー気味に変化する。 グレッグ・マダックス ペドロ・マルティネス |
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フォーシーム(ストレート) | 一般的な直球。伸びがあるボールをライジング・ファストボールと呼ぶ。遠投するときは、この握りがベスト。 カート・シリング トロイ・パーシヴァル |
カット・ファストボール | スライダーよりベースに近いところで鋭く変化するのが特徴。微妙に変化するため、普通の角度で打つと、バットの芯からずれてしまう。フォーシームとスライダーを混ぜたような球種。 マリアノ・リヴェラ アンディ・ペティット |
カーブ | 中指をボールの上部の位置に置いて手首をひねりながらリリースする。スクリューボールより速くスライダーより遅い球種。昔でいうドロップボール。 石井一久 デヴィッド・ウェルズ |
スクリューボール | 横にすべるように曲がる変化級。 米国ではスライダーは肘への影響が大きいとされ、成人しないと投げさせないのが一般的。 失投すると打ちやすいボールになるため、速球に近いスピードが必要。 ランディ・ジョンソン ロブ・ネン |
スプリッター | スピードがあり急激に落ちる。 指に無理な力がかかるので、メジャーでは多投させない。 多く投げると肘への負担が大きい。 カート・シリング 佐々木主浩 |
フォークボール | スプリッターとほぼ同じだが、球速がスプリッターにくらべて遅く、落ちる角度は大きいのが特徴。 野茂英雄 ジェフ・ファセーロ |
シンカー | サイドハンドやアンダーハンドのピッチャーはこのボールが有効。 腕を上からの角度でスピードをつけて投げるとシンキング・ファストボールとなる。 シェイン・レイノルズ |
シュート | シュートという呼び方は日本だけ。 肘への負担が大きいため、メジャーではこのような投げ方をするピッチャーは少ない。 ヤクルトの野村監督がよく勧めていたが、みな故障している。 |
チェンジアップ | 速球を投げるときと同じフォームで投げる。 やまなりに落ちる変化級。 トレヴァー・ホフマン トム・グラヴィン |
サークル・チェンジ | 円を描いた握りで投げるチェンジアップをいう。 スピードがかなり遅く、ゆれるような変化をする。 グレッグ・マダックス ペドロ・マルティネス |
パームボール | 親指と小指ではさんで投げる。 チェンジアップの一種。 サークル・チェンジよりは変化が少ない。 |
ナックルボール | ゆれて落ちる変化球だが、どの方向に曲がるかが不規則のため、キャッチャーでさえ取りにくい変化球。 盗塁されやすいので、ランナーがいるときは投げられない。 ティム・ウェイクフィールド |
ナックルカーヴ | ナックルとカーブが合体した変化球。 カーブよりも遅く急に沈む変化が特徴。 コントロールがつきにくいため、この変化球を投げるピッチャーは少ない。 マイク・ムッシーナ |
このように変化球を投げるピッチャーも、バッターに対して有効な変化球を投げ分けています。
変化球はボールに違う回転をかけるため、投球フォームに影響しやすいことが欠点です。ピッチャーが変化球の練習をする際には、フォームを崩さないことを意識しないといけません。
また、シュートやスライダーなどはピッチャーの変化球としては威力がありますが、肘を痛めやすい変化級です。ピッチャーが変化球を投げることにより、故障に至るケースは多いです。
キャンプでピッチャーが、「今年は投げられる変化球をひとつ増やす」という目標をかかげていますが、その内的意味は、それほどピッチャーが変化球をマスターするのが難しい、といえます。
フォークは変化球の中でも別格です。ピッチャーが変化球を覚える際、フォークは簡単にはマスターできないため、投げられる投手は限定されます。
フォークが投げられるピッチャーであれば、もうひとつくらい変化球を覚えれば十分といえます。
ピッチャーは投球フォームを安定させることが重要ですので、無理に変化球を覚えるのも考え物です。
まずはフォームを確立し、自分の直球と同じフォームで変化球を投げられるピッチャーになることが大切です。
そういう意味では、最も簡単に投げられる直球(ストレート)を磨くことが、効率的であるといえます。
ピッチャーと変化球は、指導者のもと確実にステップアップすることがポイントです。